かわ先生の新作絵本が完成し、出版されるはこびとなりました。おめでとうございます!!!
著者:かわこうせい
出版:ふしあな舎
印刷製本:株式会社クレステック
制作協力:株式会社しるく印刷、コニカミノルタジャパン株式会社ほか
本のタイトルは、”transparent (透明な)” と”trance (夢中/恍惚/忘我/昏睡)” と”parent (源)” をかけた造語です。悲しげで透明な主人公ミオが街から帰宅し、お茶を飲みながら内省する中で、心の傷を癒やされていく物語が、描かれています。
この本は、静岡県内で最大級のオンデマンド印刷環境をもつ株式会社クレステックとかわ研究室の共同研究から生まれました。また、デザイン学部生の渡邊桃子さん(かわゼミ)、長谷川陽彩さん、白須ちひろさん、福間愛子さんが、制作のお手伝いにアルバイトで参加しました。
キーワードは「すきとおる、かさなる、うつる」
透明なものが積層することで生じる光の乱反射をテーマに、現代の諸様相を描いています。しかけを凝らしたクラフト絵本制作を通して、紙書籍の意義を見つめ直し、実験的な印刷製本の技法や素材を盛り込んで、オンデマンド印刷の可能性を探究する試みだったそうです。
すきとおる
樹氷やガラス窓など、たくさんの透明なモチーフが散りばめられた本書には、透明紙、クリアトナーといった透明素材がふんだんに使われています。色調は透明感のあるブルーで統一されていて、主人公もすきとおった外観の少女です。
うつる
写る、映る、遷る、移る、感染る、鬱る。反射素材にうつる像、街頭スクリーンにうつし出される映像、移りゆくもの、ウィルスへの感染、気持ちの伝播、抑うつ的な時代と心などが、織り込まれています。
かさなる
表面的なイラスト、象徴学的な意味をふくんだモチーフ、表層の物語、透明なインクで印刷された背景となるプロット、私小説的な要素、かくされた沓冠など、この絵本は15層の構造が重ねられているそうです。
試作とダミーブック
制作プロセスでは、数え切れないほどの試作とダミーブックがつくられました。
部数限定のクラフト絵本。ご覧になる機会があったら、ぜひお楽しみください。
(さく)